甲賀組第一部法然上人二十五霊場

地域の身近なお寺であり続けたい。「九品寺」
九品寺レポート

今回、訪れたのは、甲賀市水口町下山にある「九品寺」です。九品寺の歴史や地域交流の場としてのお寺の在り方について、お話をお伺いしました。

九品寺の歴史と珍しい「四脚門」について




九品寺は、応永20年伴太良左衛門によって「願い寺」をつくろうと、建立されたお寺です。当初は天台宗でしたが、浄土宗に改宗。安土浄厳院の末寺になりました。火災により消失したこともありますが、貞享年間(1684年〜1688年)に本堂を、文久3年(1863年)に庫裡(くり)を再建しています。昭和63年(1988年)には、新たに本堂を建立しました。今後100年、200年先を見据えた建て替えです。

九品寺の山門は、他のお寺と少し違い、脚が2本多いです。一般的には真ん中の柱と前の柱で天秤のようになっていますが、九品寺の山門は安定した「四脚門」。おそらく最初の建立のときに檀家さんが「自分たちの菩提寺だから、立派なものをつくろう」と、思われたのではないでしょうか。




秘仏をはじめとした大勢の仏さま




九品寺には阿弥陀如来、観音菩薩をはじめ、たくさんの仏さまをお祀りしています。秘仏の毘沙門天王のご開帳は、30年に一度。そして、住職が晋山(しんさん)したとき、つまり、新たな僧が住職になったときのみです。

毘沙門さまは浄土宗のものではありません。しかし、下山区内には5つのお寺が集まっていて、檀家さんも皆さん区内の方です。そこで、ひとつのものにしようということで、全てが九品寺に集まっているというわけです。毘沙門さまは五穀豊穣と戦いの神さま。秋に地域で開催される収穫祭のときや、選挙のときなどにも多くの方がお参りに来てくださいます。

収穫祭の開催は、毎年10月13日を中心とした土日です。昔は灯心(とうしみ)で千灯の光を灯していました。今は千灯とはいきませんが、600ほどのろうそくを灯しています。山門からは、提灯がずらっとぶら下がっていますよ。なかなか幻想的な風景だと思います。




お寺を通じて、地域の交流の場に




お寺を身近に感じていただけるようにと、九品寺ではさまざまなイベントを開催しています。お寺でヨガをしたり、歌手の高石ともやさんをお招きしたり、檀家さんと一緒に食事をしたり。子どもから大人まで、いろいろな人が集えるように企画しています。

ただし、単にイベントをするだけではダメだと思うんです。みんながそれぞれお手伝いをすることが大切。教えてもらうことも勉強ですが、教えることも勉強です。お互いが自分の持っている良さを出し合いつつ、交流できる場であればと思っています。




No.1番
本霊場誕生寺
寺院名九品寺
所在地水口町下山1201番地
連絡先電話番号0478-62-4359
FAX