今回、訪れたのは、甲賀市水口町山にある「慈幸寺」です。別院としてつくられた慈幸寺のことや、これからのお寺の在り方に関する思いについて、お話をお伺いしました。
慈幸寺と山村神社の関係
慈幸寺の創立に関しては、詳しいことがわかっていません。近隣に観音寺がありましたが、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)が行われ、観音寺は閉じられてしまいました。そして、別院というかたちで慈幸寺がつくられたと聞いています。
現在、すぐ近くに「山村神社」がありますが、境内に「観音堂」としてお堂が残っているんですね。地元では山村天神さんと呼んでいます。
山村天神さんと観音さんのお堂に一緒にお参りするのが、自然なかたちになっていますね。また、お堂も鐘も、今は神社で管理されています。慈幸寺の住職としては、お寺にいながら他から聞こえる除夜の鐘を聞いているわけですから、少し変わっているかもしれません。
これからのお寺の在り方について
住職の代替わりをしてから、写経会や早朝念仏会、プチ法話会といったものを始めたこともあります。きっかけは、間口を広げたいとの思いでした。お寺は檀家さんのものではありますが、もっと開かれていくべきことだなと思っていたためです。
「いろいろな人に縁を持っていただけるように」というのは、お釈迦さんをはじめ、法然上人もずっと思われていたことだと思います。
今、お寺の必要性が問われていると感じます。SNSをはじめとしたツールを使い、告知するといった方法も、ひとつのやり方かなと思っています。
新しく始めた取り組みとして「参拝スタンプカード」があります。浄土宗は、南無阿弥陀仏を唱えることが大事ですから、お参りして阿弥陀さんの前で十念を唱えたら、スタンプを押す仕組みにしています。お参りは、個人のものです。自分がこの世とお別れするときに、棺に入れることで、神の御門のときに効果があるからとお話しています。また、カードには日付を書いていますから、お参りした日なども確認していただけます。
私は教師として、またサッカーの指導者として子どもと接する機会が多いため、いろいろ新しいアイデアを考えていますね。もちろんカードも賛否両論あると思いますが、考えているだけでは何も変わりません。カードひとつで、会話のきっかけが生まれることや、檀家さん同士が「ここまでお参りした。自分もがんばろう」と話されたりしていることは、大変嬉しいですね。
これからの時代、お寺の在り方も大きく変わると感じます。お寺の荘厳(しょうごん)は残しつつも、地域のみんなが気軽に集えるような場所、阿弥陀さんが見守ってくれている場所としての存在し続ける方法についても、常に考えています。
No. | 12番 |
本霊場 | 欣浄寺 |
寺院名 | 慈幸寺 |
所在地 | 水口町山2463番地 |
連絡先電話番号 | 0748-62-5347 |
FAX | |