甲賀組第一部法然上人二十五霊場

真明寺(しんみょうじ)の松尾芭蕉の句碑を見に行こう。
真明寺レポート

今回、訪れたのは、湖南市石部西にある「真明寺」です。現在の住職で29代目となる由緒あるお寺。松尾芭蕉の句碑や除夜の鐘など、真明寺ならではのお話をお伺いしました。

真明寺の歴史・寺号





現在真明寺が建っている場所は、古くは豊臣方の砦でした。でも、徳川方に負けてしまい、跡形も無くなってしまった。そこで庵を建てたことが、寺の始まりです。420年以上の歴史がありますね。栗東市の金勝(こんぜ)にある親寺の「阿弥陀寺」から、真明寺の寺号をいただいたそうです。





多くのファンが訪れる、松尾芭蕉の句碑





真明寺の境内には、松尾芭蕉の没後100年を記念して建てられた句碑があります。石部の宿の茶屋で一服しているときに、眺めていた景色を詠んだ歌です。

「つつじいけて その蔭に干鱈 さく女」

この句は、写生句。私たちが絵を写生するように、見たままを詠む句です。ただ芭蕉さんは、どちらかというと心情、わびさびを詠う人でしたから、珍しい句といえるでしょう。この句は、芭蕉さんの句集「野ざらし紀行」の中に収められています。

当初は正面の階段を上がったところ、現在の愛宕神社の分社が建てられているところです。ところが、火事やボヤ騒ぎが多く、句碑にも火事の炎があたってしまい、一部欠落しています。ここに置いていたらいかんということで、今現在の場所に移し、火の用心、火の神様である京都の愛宕神社の分社をお祀りしようということで、今に至ります。そういった経緯があり、石部の町には、愛宕神社の分社がたくさん祀られているというわけです。

句碑は、普通は右から左に書いていくものですが、石の形が左から右へ流れているため、句も左から右へと詠まれています。これも珍しいと、全国からよくみえられますね。

それから普段一般公開はしていませんが、石部の俳壇の方々が芭蕉さんの位牌をつくられました。なぜここに置くかといった経緯も書いてあります。こちらも、同じくお祀りしています。






地域の人々でにぎわう、大晦日





数年前、台風でヒノキの木が倒れてしまい、鐘楼(しょうろう)の屋根も被害を受けました。新しく建て直してからは、毎年大晦日の夜、除夜の鐘を撞きに大勢の方が来てくださいます。鐘を突き本堂で焼香をされた方に、私たちが甘酒をふるまったりしていますよ。

1年のうちに亡くなった方がいらっしゃるなら、その方のために。結婚して子どもが生まれたら、子どもの成長を祈って。受験生なら合格しますように。就職する子は、いいところに就職できますように。それぞれいろいろな思いを持って撞きにきてくださいとお話しています。

真明寺の鐘は、極楽浄土の仏さんに届くように東から西に向って撞くんです。ぜひ、今年の大晦日は、除夜の鐘を撞きに真明寺にお越しください。





No.16番
本霊場光明寺
寺院名真明寺
所在地湖南市石部西1-5-23
連絡先電話番号0748-77-3392
FAX